全日本ダットサン会は、1985年9月5日、設立されました。
芝浦工業大学自動車部に在籍していた佐々木徳治郎は、自動車部の教材だったダットサン114型で日本一周をするなどして、ダットサンと深く付き合うようになりました。
大学卒業後は、自動車関係の世界に就職、その中で日産自動車との関係も深まり、(株)サファリモータースを設立、当時日産が参加していたラリー車両の登録や役員車、広報車と言われる取材用車両などの登録業務や整備などを手がけるようになりました。一方で前述の通り、大学時代から親しんできたダットサンのクラブを作りました。最初は芝浦工業大学自動車部OB会として発足しましたが、OB会ではダットサン愛好家の受け皿としては小さすぎるので、もっと日本中のダットサン愛好家の方と繋がろうということから「全日本ダットサン会」と名称を変更しました。
その中で持ち上がったのが、1987年にアメリカで行われたグレートアメリカンレースに参戦するという話でした。1936年以前登録のヒストリックカーによるアメリカ大陸を横断するイベントで、ヒストリックカーレースといえども本格的なもので、アリゾナの灼熱の砂漠なども走る過酷なレースでした。佐々木たちは、これに合わせてダットサンレーサーという戦前のレースで活躍した車両を復刻しました。戦災で失われたこのモデルを、当時の資料をもとに復刻し、特別枠で参加することができました。
この参加がきっかけで、アメリカのヒストリックカー愛好家の方達と交流することにより、オールドカーへの愛着が一層高まったと佐々木は述懐しています。その後、各地のイベントにエントリーしながら活動を続けてきました。
2002年に開催したブルーバード510型35周年のイベントあたりから、メーカーOBの技術者の方からのご協力もいただくようになり、傘下クラブの活動も活性化され、非公開ながら自主的にイベントを開催するようになりました。非公開といえども、クラブ員のエントリーは多い時で100台近くになることもありました。ちょうどこの時期は発売から35〜50周年という節目を迎える車も増え、発売50周年を迎える車型は「殿堂入り」と位置づけておりましたので、この時期は活発にイベントが開催されました。
一般公開イベントを開催するようになったのは、2005年4月からスタートした「品川クラシックカーレビューin港南」です。主催は品川駅前港南商店会様ですが、企画・運営は実質全日本ダットサン会によるもので、各地からエントリーをいただき、高輪警察署はじめ地元関係者の方々の協力もいただいて春と秋の年2回開催されました。2015年の春の第20回の開催をもって、年1回に開催ペースを減らすことにいたしましたが、このイベントの開催によって、各地のクラシックカーイベントの主催者側より、当会に対して協力を依頼されることが増えたのも事実です。協力といいましても、会員を募ってまとまった台数でエントリーすることが精々ではありますが、それでも主催者の方々からは何かと喜んでいただいて、ありがたい限りです。
これからの当会の役割はメーカー(日産自動車様)、オーナー、JCCA(日本クラシックカー協会)様など各クラシックカークラブ、雑誌社、ショップ等との連携の核となって、より成熟した旧車文化を育んでいく原動力になることではないかと思っております。
また、旧車を楽しむ世代が年々上昇し、特に若い年代のファンをどう育てていくかも大切です。当会には何人か小・中学生の会員さんもいらっしゃいます。旧車に憧れを持った若い会員さんをより楽しい趣味の世界に導くためにも、当会の役割は重要ではないかと思われます。
パーツの入手困難、修理可能な技術者の減少、税金の割増など、旧車を取り巻く環境は決して良いとは言えませんが、その中でも旧車を楽しむ集まりとして、これからも「全日本ダットサン会」はさらなる発展を目指したいと思います。
何卒、会員の皆様のさらなるご協力をお願いいたします。